バ ン ド 維 新

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過去の開催記録

2024.3.7 Sun

バンド維新2024

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INTRODUCTION作品紹介

秘儀Ⅵ
〈ヘキサグラム〉
(フレキシブル編成版)

[ 演奏 ] 浜松聖星高等学校

[ 作品解説 ]

この編曲は全6楽章から、1・3・5の3つの楽章を抜き出したものです。
オプションとしてコントラバスと打楽器3パートを含むパート1から7までのフレキシブル編成で編曲されています。
各パートにつき最低1奏者ずついれば演奏可能なようになっていて、最小で7奏者から演奏できます。小編成の吹奏楽はもちろんのこと、クラリネット七重奏、サクソフォーン七重奏などの同属アンサンブル、木管金管混成の室内楽でも演奏可能です。金管アンサンブルで演奏することも可能ですが、原曲の六重奏とは異なる声部配分となっていますので、金管六重奏で演奏する場合は原曲版の使用を推奨します。
オプションの打楽器は無くても演奏可能です。もし加える場合、第3楽章「ホケトゥス」に関しては3パートとも用いることを推奨します。3奏者を揃えることができない場合、第3楽章は打楽器なしで演奏してください。

原曲は金管楽器での演奏を想定しているため、この編曲では木管楽器には困難なタンギングが要求されています。技術的に難しい場合、適度に音を間引く、延ばしに変更する(替指トリルやビスビリャンド・トリルの併用を推奨)などで対処してください。

吹奏楽のための
「東海道四谷怪談」

[ 演奏 ] 浜松中学生吹奏楽団

[ 作品解説 ]

「現代音楽に於ける無調性、不協和音、複雑な変拍子、特殊奏法、難解な旋律、といった要素がいかにしてエンターテイメントになりえるか?」
学生時代から僕がずっとテーマにして来た事だ。バルトークやベルク、ブーレーズの曲を聴きながら、この面白さをどうすれば一般の人が興味を持てるテーマと結びつけられるのか、そんな事ばかり考えてきた。
勿論同じ事を考えた作曲家はいるだろうけど、知る限り成功例を知らない。敢えて上げればストラヴィンスキーの「春の祭典」なのかもしれないが、「春の祭典」以降続いていないのかと思うとちょっと寂しい。難しい物をわかりやすく楽しくするというのは、困難な事だが価値のある事だと思うから。
10年ほど前たまたま歌舞伎「東海道四谷怪談」を観て、この復讐劇に内在する情念、憎悪、悲哀といった精神世界は、現代音楽的な書法にピッタリではないかと直感した。以来、管弦楽、合唱曲、吹奏楽、室内楽、どれが相応しいのか模索してきた。
この度”吹奏楽の最先端に挑戦している"バンド維新から委嘱していただき、真っ先に「東海道四谷怪談」を曲にしようと思った。ダークなテーマにも関わらず積極的に取り組んでくれた学生さん、先生方には頭が上がらない。吹奏楽の世界に新たな一石を投じられたら、と願っている。

秘儀Ⅱ
〜7声部の管楽
オーケストラと
4人の打楽器演奏者
のための〜

[ 演奏 ] 浜松ユース吹奏楽団

[ 作品解説 ]

「秘儀」のシリーズは、宗教や内容を特定しない秘教的な祈祷の儀式をイメージして作曲されている。 〈秘儀II〉は、管楽器の選択設定が自由な7つのパートと、金属打楽器と膜質打楽器を中心とした4奏者による打楽器アンサンブルの組み合わせによって構成されている。
7つの各管楽パートは複数(同種もしくは異種)の楽器のユニゾンで奏されても良いし、単管のソロによっても良い。あるいはまた、ひとつのパートにおいて複数楽器による部分とソロの部分を設定しても良い。
出版スコアに示されている楽器設定は、あくまでもひとつのモデル・ケースに過ぎない。

曲は以下の5つの部分から成っている。

第一部(冒頭~第26小節)は、トゥッティの太いユニゾンの旋律(祈祷歌のような)を基調に作曲されている。
第二部(第27小節~第49小節)は、メリスマ(コブシのような旋律的装飾音)を伴うヘテロフォニー。
第三部(第50小節~第78小節)は、舞曲調の速いスタッカート点描群の流れと語るような太い旋律線の共存。
第四部(第79小節~第91小節)で、第一部的ユニゾンの回帰。
第五部(第92小節~最後)は、緊張感高く祈祷を締めくくるようなコーダ。

リズムクロス

[ 演奏 ] 浜松修学舎中学校・高等学校

[ 作品解説 ]

リズム面に注目してみました。
といっても、リズムというものは奥が深く、
様々な側面をもっており楽しいもので、
ここでそのすべてを放出することはできませんから、
また続編を書くことになるでしょう。

この作品の演奏者は、それぞれの短い場面で、
それぞれ的確なリズム感覚を共有する必要があります。
冒頭の3連符と5連符は何気なく合うのが理想ですが、
それが難しいと思います。
次に、4Sax.とPerc.にだけ許された、合奏から解放された
Liberamente(自由に)の瞬間が現れます。
ここでは解放が逆に束縛になってしまうと難しい…。
そして、16分音符の速さは一定で拍子だけ変化する
デジタルな雰囲気の部分が…。
後半は噛み合わせ的束縛感に満ちた楽想ですが、
案外、楽に演奏できるでしょう。

楽器編成は極力小さく、音の重ねも極力控え、
皆さんのために普段設置されている支柱(つっかえ棒)
を外してみましたので、難しい印象かも。
でも管・打楽器の魅力は、それでも光り輝くことを証明してほしい。
素顔を磨き、その美しさと発言力で勝負してほしいという
私の望みを包み隠さず書いたものです。

奏楽 混声合唱と吹奏楽のために

[ 演奏 ] 浜松市立北浜中学校、浜松市立細江中学校、Coral Pea

[ 作品解説 ]

谷川俊太郎さんの詩「奏楽」は、もともと1981年8月刊の『バンドジャーナル』誌上に発表されたものです。
今回、合唱と吹奏楽の曲を作るにあたってこれ以上に相応しい詩はないと思い、作曲することに決めました。

作曲にとりかかる少し前に現場の先生方から、吹奏楽部員に合唱パートを歌わせたいというリクエストをいただき、日ごろ合唱活動をしていない方々でも無理なく歌えるように作曲しました。
とは言え、この曲では吹奏楽が合唱のラインを過度になぞることを避けており、自立したセクションとして合唱を扱っているので、豊かな声の響きが求められます。楽器を吹く上でも、歌の学習が良い効果をもたらすことでしょう。
また、吹奏楽パートは「伴奏」という意識にとどまらず、言葉の意味を「歌っている」こと感じながら演奏していただけたら素晴らしいです。

人間も楽器も、「野に立って息を待つ/風に鳴る笛」であると、詩は歌っています。
この曲をきっかけとして、合唱と吹奏楽の共演がもっと広がっていくといいなと夢見ています。

サイバートリップ

[ 演奏 ] 浜松市立与進中学校

[ 作品解説 ]

芸大大学院時代、全日本吹奏楽連盟の課題曲公募に「序奏とアレグロ」で応募し採用されたのが、吹奏楽との関わりの最初でした。師の浦田健次郎先生が、当時からオーケストラ作品と共に質の高い芸術吹奏楽曲を発表しておられた影響で、私も学生時代から吹奏楽に興味を持ったのですが、当時の吹奏楽界は完全な男の世界で20代半ばだった私には居場所がなく、その後興味が声楽系に移ったこともあっていつの間にか吹奏楽を書かなくなってしまいました。
数年前、全日本吹奏楽連盟から課題曲委嘱をいただいたのを機に吹奏楽の作曲を再開。'06年課題曲「パルセイション」、秋田の大曲吹奏楽団の委嘱で書いた「ゴシック」に続いて、「サイバートリップ」が復帰第三弾となります。
吹奏楽のサウンドは非常に明るく華やかなため、今までの私の作品は音楽自体を意図的に暗めな重厚な響きで統一する傾向があったのですが、この作品はタイトルからもおわかりいただけるように、今までで一番エンタテインメント色が強く、響きの明るい作品となっています。もともと大編成好きの私が小編成作品を書くにあたって取ったスタンスは、室内楽的・対位法的な書き方をするのでなく、小編成でありながら大編成の迫力を出せる書き方をすることでした。ピッチと音裏バランスがうまく決まりさえすればトゥッティで鳴ったとき、かなり厚みのある充実した響きとなるはずです。