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【チェリスト】森田 啓佑


 2月13日のアクト・ニューアーティスト・シリーズに登場するのは、チェリストの森田啓佑さん。
高校在学中に全日本学生音楽コンクールと日本音楽コンクールの史上初同年2冠を達成。現在は留学先のドイツで研鑽を積みながら、ピアニスト反田恭平さん率いるジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)の創設時メンバーとして、帰国時には積極的に演奏活動を行っています。
ドイツでの生活や演奏家として目指すことなど、森田さんにお話を伺いました。

©Eiji Yamamoto

チェロをはじめたきっかけを教えてください。

 3歳上の兄がヴァイオリンを習っていて、毎週兄のレッスンに付き添っているうちに、自分も弾きたくなったようです。2才半頃のことなので、覚えていませんが‥‥兄弟で楽器が違うと世界が広がるよ、とアドバイスをいただき、チェロに決めたそうです。
            

小さい頃はサッカー少年だった森田さん。
チェリストへの道を本格的に目指したのはなぜですか?

 中学1年生の時、山中湖で倉田澄子先生のマスタークラスに参加しました。それまではサッカーの合宿ばかりだったので、とても新鮮で…みんなと過ごしていると何となく音楽の世界もいいなと思いました。それに、倉田先生にはすでに胃袋をつかまれてしまっていました(笑)。先生のご自宅でレッスンが終わるとご褒美におやつを出してくださって、おしゃべりしながらお腹も気持ちも満たされました。小学生の頃の夢はサッカー選手でしたが、同時にチェロも習っていて、家でもCDが流れるなど生活に音楽があることが好きでしたし、最終的に音楽に決めたという感じでしょうか。
                     

ドイツではどんな留学生活ですか?興味深い発見などはありますか?

ヨーロッパらしい町並みがお気に入り

 ザールブリュッケンは都会でなく、時間の流れがとてもゆっくりなので気に入っています。朝起きて散歩、帰り道にパンを買って朝食、その後に授業か練習、夜は音を出せる時間が決まっているので、生活にメリハリがあります。時間に追われず、音楽のある生活を自分で組み立てられるところがいいですね。ドイツに来てまず戸惑ったことは、電車の乗り方でした。ザールブリュッケンの前はベルリンに住んでいたのですが、駅に改札がなく券売機で切符を買うだけ。無賃乗車し放題だなと思っていたら、係の人が車内を回ってきた時があって。時々切符を確認しにくるとい
うシステムを理解するまで2〜3回、罰金を取られてしまいました!
              

オフの日は何をして過ごしていますか?

 週に1回サッカーをしています。韓国人、ドイツ人、ベトナム人など色々な国の人がいてとても楽しいですよ。ベルリンでもザールブリュッケンでも、まずはサッカーで仲間を作りました。音楽とサッカー、僕にとってはどちらも大切です。あとはNetflixで映画などを見ています。感染症が広がる前はカフェでのんびり過ごすことも多かったですね。

反田恭平さんプロデュースのジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)にも所属する森田さん。
新進気鋭のメンバーとして参加した感想を。

 オーケストラはこれまで学校で勉強しただけですので、経験豊富なメンバーからたくさんの刺激をもらっています。当初8人だったMLMダブル・カルテットから人数が増えて音楽も大きくなり、発見することも多いです。誰でも遠慮なく意見を言えて、その意見がすぐに実現されていく過程にはワクワクします。共有できている充実感がありますね。
              

演奏家として尊敬するアーティストはいますか?また、師に学ぶ中で心に強く残る言葉や座右の銘はありますか?

 尊敬する演奏家はたくさんいますが、特にあげるならヴァイオリンのGeorge EnescuとピアノのDinu Lipattiです。エネスクはチェロ・ソナタの作曲もしていて、日本ではあまり演奏されませんが、いい曲だなと思います。心に残っているのは、『小鳥が飛ぶように軽々とチェロを弾くと言われたことがある。小鳥が飛ぶことにどれほどの努力をするか知らないが、自分がどんな努力をチェロに注いだかはよく知っている。軽やかな演奏に見えるものは最大の努力の結果だ』というカザルスの言葉です。
                  

これから演奏家として目指すもの、目標などについて教えてください。

 まずは自分の技量を高めて、ソリスト・室内楽奏者・オーケストラ奏者のどれもできるようになりたいですね。一つだけに集中しているといずれ限界が来てしまうので、ひととおり勉強して最後にはやりたいことをやれたら幸せだなと思います。また、教えることにも少し興味があるので、機会があればチャレンジしてみたいです。

2月13日の浜松公演は、音楽工房ホールという小さなホールでのコンサートです。演奏前は緊張しますか?また、トークは得意ですか?

 緊張する時はしますし、しない時はしません(笑)。ただ毎回、本番前日くらいまでは死ぬほど怖いです。でもその怖さを開き直れた時は、良い演奏ができることが多いです。それにはやはり練習ですかね。トークは得意ではないので、できることなら避けたいのですが(笑)、頑張ってお話ししますので、皆様温かく見守ってくださいね!

今回のプログラムの選曲ポイントや聴きどころを教えてください。

 留学先のドイツの作曲家ベートーヴェンとメンデルスゾーンをメインにプログラムを組みました。古典派から初期ロマン派あたりのイメージです。絶頂期だった二人が創作したソナタを、20代の若い音楽家がどのように演奏するのかを楽しんでいただけたら嬉しいです。
        

最後に、浜松のお客様へメッセージをお願いします。

 ドイツでは、自然に触れながら森の中での演奏会を楽しむことも多いです。ここ浜松のアクトシティという森で、皆様と時間を共有できることを楽しみにしています。精一杯の演奏をしますので、どうぞよろしくお願いします!
Official Website : https://www.keisukemorita.com/        
                

アクト・ニューアーティスト・シリーズ2021
Vol.132 森田啓佑(チェロ)

2022年2月13日(日) 14:00開演 
●アクトシティ浜松 音楽工房ホール
●入場料(全席自由)
 【チケット完売】
 一般 2,500円 学生1,000円(24歳以下)
 ※未就学児の入場はご遠慮ください。

公演の詳細は、こちらをご覧ください。