【ハーピスト】吉野 直子
2017年11月27日開催 アクト・プレミアム・シリーズ2017 出演
【ハーピスト】吉野 直子 インタビュー
11月27日、アクト・プレミアム・シリーズ2017の第3弾としてご登場いただくのは、ハーピストの吉野直子さんとホルン奏者のラデク・バボラークさんです。イスラエルのハープコンクールで優勝して30年、音楽家としての今までとこれからの活動について、吉野直子さんにお話を伺うことができました。
ハープ奏者となったきっかけを教えてください。
母がハープ奏者でしたので、生まれた時からハープが身近にありました。6歳の時、父の転勤でアメリカ・ロサンゼルスに行き、母がスーザン・マクドナルド先生に師事したのを機に、私も一緒に教わったのが始まりです。それまで、おもちゃのように触って遊んだりはしていましたが、レッスンを受け始めたのはそこからです。3年半ほどで帰国しましたが、マクドナルド先生とすごく相性が良くて、家では母に見てもらい、長期の夏休みなどに渡米して教わっていました。
海外で音楽を学んだことの良さはどんなところでしょう。
アメリカで教わった音楽の先生たちは、全体的に大らかで伸び伸びしていて「褒めて伸ばす」というタイプ。演奏の場でも楽しくやればいい、という感じで。それが私には合っていましたね。もし日本でハープを習っていたら、違う道に行っていたかもしれません。
一方で、大学は音楽ではなく「美術史」を専攻されたのですね。
小さい時から周りに音楽があって、アメリカではホームパーティや地域の催し物、子供のためのオーディションなど、演奏の機会がたくさんありました。
ハープ奏者を“ 仕事として選んだ”というよりは、そんな環境の中で、帰国後も普通の学校に行きながらレッスンを受け続け、高校3年生でコンクールに優勝したことで“ だんだんと日本での演奏活動が忙しくなった”という感じなのです。もし音大に行くならマクドナルド先生のいるインディアナ大学しか考えていなかったのですが、先生も母も「好きなことがあるなら音楽以外の世界を経験したら」と。ごく自然に普通の大学を選び、好きだった美術を専攻しました。
ハープ奏者を“ 仕事として選んだ”というよりは、そんな環境の中で、帰国後も普通の学校に行きながらレッスンを受け続け、高校3年生でコンクールに優勝したことで“ だんだんと日本での演奏活動が忙しくなった”という感じなのです。もし音大に行くならマクドナルド先生のいるインディアナ大学しか考えていなかったのですが、先生も母も「好きなことがあるなら音楽以外の世界を経験したら」と。ごく自然に普通の大学を選び、好きだった美術を専攻しました。
ハープはとても大きな楽器ですが、持ち運ぶのは大変でしょうね。
楽器自体の重さは40kg 弱ですが、国内の移動は専門の運搬の方にお願いしています。車移動の場合は、ソフトカバーをして横に寝かせた状態で運びま
す。飛行機の場合は、ハードケースに入れるのですが、そうすると100kgほどの重さになってしまいます。
海外では、楽器を借りることもありますが、良い状態の楽器でないことも多いので、自分のハープを持って行くこともしばしばあります。現地でレンタカーを手配して楽器を積んで自分で運転するなど、手間がかかり大変ですが、自分のハープを使えるのは嬉しいですね。
す。飛行機の場合は、ハードケースに入れるのですが、そうすると100kgほどの重さになってしまいます。
海外では、楽器を借りることもありますが、良い状態の楽器でないことも多いので、自分のハープを持って行くこともしばしばあります。現地でレンタカーを手配して楽器を積んで自分で運転するなど、手間がかかり大変ですが、自分のハープを使えるのは嬉しいですね。
指で直接はじくハープ奏法ならではのご苦労があるのでは?
響きが豊かな楽器だけれど、弦が振動している間しか音が続きません。一回はじいて指を離すと、それ以上音を長く伸ばせませんし、逆にスタッカートみたいな短い音も難しいです。ハープは指の使い方やはじき方、はじくスピードで微妙に音が変わるのが面白くもあり、難しいところでもあります。指が固くなると音も硬くなってしまうので…時々お湯で指先をやわらかくしたり、固くなった指先を紙やすりで手入れをしたりしますが、他にはこれといった手や指の特別なケアはしていません。
ハープは美しい音色と優雅に弾く姿が特に印象的です。
ハープの弦は47本。赤と黒、シルバーの3色からなる。
赤がC(ド)、黒がF(ファ)。最近は、吹奏楽でもハープ
パートを含む曲があるのだとか。
自分で弦を直接触って音を出す楽器なので、繊細で色々な音色(おんしょく)が出せます。豊かな響きを聴きつつ微妙な色合いを、実際に目で見て味わって頂きたいですね。今回のプログラムはホルンとのデュオがメインですが、お互いのソロもあります。また、ハープにはペダルが7本あって、シャープやフラット、つまり半音上げたり下げたりを足で操作します。転調が多い曲では、両足をかなり忙しく動かしながら演奏したりします。オーケストラだと横の方にいるので客席からは見えにくいですが、今回はデュオリサイタルですから、そのあたりの様子も見えるかもしれませんね(笑)。
今回、共演のラデク・バボラークさんとはデュオ作品集もリリースされていますね。
ラデクさんは今、世界で一番上手なホルン奏者だと思います。最初の出会いは、松本でのサイトウ・キネン・オーケストラでした。若い時から“ 天才”と言われてきた彼が20代の頃から、小澤征爾さんの指揮のもとで、一緒に演奏してきました。ホルンは、コントロールとか音を外さない事がかなり難しい楽器と言われるのですが、彼が吹くと「こんなにホルンって簡単なのかしら?」と。音色もすごく柔らかくて全てが自然なのです。彼とはお互いにあまり考えなくても自然に音楽が流れるというか‥‥これは簡単なように見えて一番難しいことなのですが、相性が良かったのだと思います。たびたびデュオやオーケストラなどでご一緒しています。
ホルン以外で今までにデュオなどで共演してきた楽器は?
共演のチャンスが多い楽器はフルートですね。モーツァルトの有名な「フルートとハープのための協奏曲」をはじめ、デュオ作品がたくさんあります。あとはヴァイオリンなどの弦楽器、そして珍しいところではトランペットやコントラバスなど、いろいろな楽器と共演してきました。ただ、曲のレパートリーの有無や楽器との相性はもちろんありますが、一番大事なのは、その人のもっている音楽が素敵かどうか、だと感じています。お互いの楽器の音色にどうやったら合わせられるかという作業はすごく楽しいですし、一緒に創り上げる時間を共有できる素敵な音楽家に出会うと、「この人とやりたいから何か曲がないかしら」というふうに繋がっていくのです。
これからの夢や目標を教えてください。
コンクールから30年という節目を迎えたのを機に、新しくCDのレーベルを立ち上げました。17歳でコンクールに出て、演奏活動を続けてきて、気持ちは変わっていないのですが、ふと気が付けば周りに下の世代が増えていて(笑)。20代で弾いてきた曲が、少し違って深く見られるようになっていました。これからは「大事にしたいと考えているものをじっくり掘り下げていきたい」と思ったとき、 “ 今の自分”が残したいものを録音するには自分でやるのが一番良いと思ったのです。去年、今年と1枚ずつ出してきて、まずは5年続けようと思います。そして、これからも出逢いを大切にしながら、新しいことも取り入れていきたいと思っています。
浜松のお客様へメッセージを。
「ホルンとハープ」の組み合わせは珍しいと思いますが、バボラークさんの音色はすごく柔らかくて美しく、ハープとよく合います。私たちの音楽的な会話を楽しんでください。浜松は音楽と縁が深い街。私たちも楽しみにしています。
アクト・プレミアム・シリーズ2017
ラデク・バボラーク(ホルン)&吉野直子(ハープ)
元ベルリン・フィルのソロ・ホルン奏者でもあり、名実共に世界一のホルン奏者ラデク・バボラークと世界の巨匠と数々の共演を重ね、ハープ界の最前線で活躍している世界的ハープ奏者 吉野直子による豪華共演!
2017年11月27日(月) 19:00開演
●アクトシティ浜松 中ホール
●入場料(全席指定)
S席 5,000円 A席 4,000円
学生 1,000円(24歳以下)
公演の詳細は、こちらをご覧ください。
2017年11月27日(月) 19:00開演
●アクトシティ浜松 中ホール
●入場料(全席指定)
S席 5,000円 A席 4,000円
学生 1,000円(24歳以下)
公演の詳細は、こちらをご覧ください。