浜松市立水窪小学校コンサート
公演日 2020年10月23日(金)
会場 浜松市立水窪小学校
時間 13:35~14:20
演奏者 横坂 源(チェロ)
山本 絵里子(ピアノ)
■プログラム
①エルガー:愛のあいさつ
②フォーレ:シチリアーノ
③サン=サーンス:白鳥
④杉本竜一:Believe
⑤ドビュッシー:グラドゥス・アド・パルナッスム博士
⑥ピアソラ:アディオス・ノニーノ
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今年度2回目となる、演奏家派遣事業「弦楽コンサート」が開催されました。
演奏は、横坂源さん(チェロ)と山本絵里子さん(ピアノ)。
横坂さんは、13歳で東京交響楽団との初共演を皮切りに、
国内外主要オーケストラ多数と共演を果たされている若手実力派のチェリストです。
また、チェリストの登竜門として知られる全日本ビバホール・チェロコンクールで
最年少優勝(15歳)をはじめとして、数多くの賞を受賞されています。
山本さんは、磐田市在住のピアニストで多数のコンクールにて全国大会入選されています。
また、後進の育成にも尽力されると共に、
市内の学校ほか各施設で意欲的に演奏活動をされていらっしゃいます。
本日鑑賞したのは、小学生36名と中学生21名の子ども達。
今回は感染症対策をとり「三密」を避け換気を十分に行う為に、
コンサートは、プロポーズのために作曲されたというエルガーの「愛のあいさつ」でスタート。
あたたかい響きに満ちた横坂さんのなめらかなチェロのメロディーが、
山本さんのピアノ伴奏にのって、体育館はうっとりとした気分につつまれます。
2曲目は、フォーレの「シチリアーノ」の演奏です。
どこか陰のあるようなひっそりとした音色は1曲目の「愛のあいさつ」とは対照的。
下の写真は、「シチリアーノ」が前奏曲として使われ、主人公2人が噴水のもとで愛を語り
合っている場面を説明されている横坂さん。
子ども達は熱心に聴き入ります。
つづいて、より深く音楽を子ども達に感じとってもらうために、
横坂さんは、「シチアーノ」を音楽の三大要素である「メロディー、リズム、ハーモニー」に
分けて演奏し、子ども達が聴き取りやすいよう工夫して聞き比べをしていきました。
そして、もう1度「シチリアーノ」の演奏をみんなで鑑賞します。
奏でる1つ1つの音を丁寧に聴き、そして音が重なり合う響きを味わいました。
横坂さんの豊かな音楽性やイマジネーションによって、「シチリアーノ」の幻想的な
イメージがより一層強まり、子ども達が曲を聴きながらそれぞれの物語を頭に思い描く
ことができました。
ピアノソロでは、山本さんによる「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」の演奏です。
ドビュッシーが自分の娘に捧げたという組曲。
クラメンティ作曲の「グラドゥス・アド・パルナッスム」を幼い子が苦労して練習している
途中、「実際にチェロを弾いてみたい人?!」という、横坂さんの呼びかけに
「ハイ!ハイ!」と、勢いよく次々と子ども達の手があがります。
楽器から音がでた瞬間、全身に伝わる振動に思わずびっくりした表情をする女の子。
「チェロは、弾いている本人が一番音の響きを感じるんだよ。」と、
最後に、子ども達から花束とお礼の言葉が贈られました。
体育館は雨の音などが響いてしまうことから、天候が少し心配されましたが、
本番が始まる頃にはすっかり雨もあがって、
目の前の演奏家の息づかいや楽器の魅力のある音色と響きを
たっぷりと味わうことができました。
水窪町の大自然の中で行われた弦楽コンサート。
「自然と音楽は非常に近いものを感じる」「きっと、いい音が届けられると思う」と
おっしゃられた横坂さんと山本さんの聴き手の感性にふれる演奏は、
音楽を深く楽しむ経験となりました。