内容
山形県に生まれた小松均(1902-1989)は、画家を志して上京し川端画学校で学んだ後、1924年の国画創作協会展(国展)初入選をきっかけに京都に移り住み、土田麦僊に師事しました。明治維新以降、西洋美術、そして戦争に向かう世相の影響を受ける画壇の中で、小松均は新しい表現を求めて福田豊四郎、吉岡堅二とともに「山樹社」を結成し、休止期間を挟みながらも帝展や院展に出品し入選を重ねるなど、自身の芸術に向き合い生涯制作を続けます。作品からは自給自足の生活を営みながら京都大原の自然の中で磨かれた力強い表現、あるいは人物やいきものに向けられる慈しみを帯びたまなざしが感じられることでしょう。
本展では、同じく京都を拠点に活躍した秋野不矩の作品もあわせて展示いたします。目指した表現に違いはありますが、秋野不矩もまた旧体制からの脱却を求めて結成された「創造美術」(現:創画会)の創立メンバーとして活躍し、インドの自然やその地に生きる人々から影響を受けて作品を制作しました。京都に住し新たな日本画を模索した二人の画家が自然やあらゆる生命に向ける真摯なまなざしを感じ取っていただけますと幸いです。
掲載画像:小松均《牛図 さみだれ》昭和9(1934)年 個人蔵