バ ン ド 維 新

C O M
P O S E R S

作曲家紹介

KITADUME MIchio北爪 道夫

北爪 道夫

1974年東京藝術大学大学院修了。

’77年、「アンサンブル・ヴァン・ドリアン」結成に参画、作曲・企画・指揮を担当、内外の現代作品紹介に努め、’83年、第1回中島健蔵音楽賞を受賞した。
’79年より1年間、文化庁派遣芸術家としてフランスで研修。以降、様々な団体からの委嘱により多くのオーケストラ作品を作曲、内外で再演。 ’94年《映照》で尾高賞を受賞、同作品は’95年ユネスコ国際作曲家審議会(IRC)最優秀作品に選出され、IRC50周年記念CDに主な作品として収められた。

’01年《地の風景》で尾高賞を受賞。
’04年「サントリー音楽財団・作曲家の個展」での《管弦楽のための協奏曲》など長年にわたる作曲活動に対して第22回中島健蔵音楽賞を受賞。
他に、《悠遠―鳥によせて》など2曲の国立劇場委嘱作を含む邦楽器のための作品群、さまざまな楽器や声のための作曲は多岐にわたり、自然との対話から紡ぎ出された音響によるそれらの作品は、内外のコンサート、放送、CDで紹介されている。

その他、FMベスト・オブ・クラシックのテーマ音楽やラジオドラマの音楽等を担当、多くの受賞歴がある。

CD:「北爪道夫オーケストラ作品集」(FOCD2514)、「北爪道夫・作曲家の個展」(FOCD3505)他。

現在、国立音楽大学教授、日本作曲家協議会理事。

並びゆく友 ~ウィンドアンサンブルのための~

[ 作品解説 ]

皆さん!本当の友情とはお互いの良いところを認め合うところから始まるのではないでしょうか?そして「親友」というのは、自分ととても似たところと全然似ても似つかないところの両方をもった人のようです。僕にしか出来ない事、親友にしか出来ない事、そしてふたりで盛り上がることが出来る事(つまりいつの間にか助け合っている)、この組み合わせがいつか大きな信頼関係を生むようです。実は、アンサンブルの基本はこのような信頼関係の集合体であって欲しいと常日頃から思ってきました。

この作品「並びゆく友」発想の根底には以上のような人間関係への憧れが流れているわけです。<並び行く>わけですから交叉することなく、木管・金管・打楽器の3つのセクションは、お互いに並行してそれぞれ自分の言葉を自由に、しかし大切に喋ってゆくのですが、気が付くと同じ流れに乗っている――そんな音楽です。音楽の語法としてはかなり分かり易い素直な響きでまとめています。

また、吹奏楽の存在価値を文字通り<ウインド・アンサンブル>から考えるために可能な限り少人数の編成を選びました。ひとりひとりの響きが全体の音響にダイレクトに影響をあたえるという難しさがあると同時に、上手くいった時の快感はそれぞれの演奏者ひとりひとりの身体の芯まで伝わって来る、という経験を積んで欲しいなあ、と思います。この作品は小編成でしか味わえない透明感への関心から生まれました。これは大編成になっても忘れたくない意識のひとつです。

[ 編成 ]

Flute 1,2
B♭ Clarinet 1,2
E♭ Alto Saxophone.
B♭ Tenor Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba

Percussion
(B.D. / Sus.Cym.(Sizzle Cym.)/ Congas / Bongos / 3 Toms /
2 Wood Blocks(High) / 2 Temple Blocks(Low) / 4 木鉦 / 拍子木 / Sleigh Bells)

雲の上の散歩道

[ 作品解説 ]

「雲の上のひと」という言葉がありますが、雲の上には本当に人がいるのでしょうか?地上に雨が降ろうと雪が降ろうと、雲の上はいつも快晴ですね。私は、空を見上げて地上と宇宙の途中に浮いている雲を眺めるのが大好きです。もし雲の上に散歩道があったら是非歩いてみたいと思います、私など道を踏み外して地上まで真っ逆さま!ドキッとします。そういう意味でこの曲は夢の中の散歩道ということですが、雲を見上げて自然と人間のいろいろな情感の交流をイメージして演奏していただけるとうれしいです。
今回も小編成へのこだわりが反映され、ていねいな音楽造りが要求されます。小編成の合奏ほど難しいものはないと思います。特に、管楽器は声帯が楽器の中に入っていて呼吸そのものが響きを作り出しますから、そのコントロール次第でいろいろな事になってしまう。逆に考えれば、「可能性いっぱい!」そこが面白いところです。だから「どういう演奏にするべきか?」を楽しみながら小編成の合奏をたくさん経験してほしいと思うのです。

[ 編成 ]

Flute 1,2
Piccolo (Fl.)

B♭ Clarinet 1,2,3

E♭ Alto Saxophone 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba

Timpani
Percussion (Sus.Cym. / Mari. / Vib. / Glock. / Sleigh Bell)

Fanfare Rhythmic

[ 作品解説 ]

短いファンファーレ的な作品です。この曲の特徴は、管楽器群のファンファーレ的な響きに、もうひとつの音楽的要素として、常にパーカッションの細かい周期のリズムが寄り添っていることでしょうか。
冒頭はマーチングしても良いのですが、より速めの攻撃的なテンポが良いと思います。パーカッションのリズムのフレーズは八分音符で数えると5・5・5・ 7・5・5・3・5に分かれますが4/4拍子にはめ込まれています。一方、管楽器群は四分音符ばかりですが各休符の次の四分音符が、新しいフレーズの頭になっています。つまり、4/4拍子のなかで2種類の変拍子が並行して進むわけです。
ファンファーレは何故輝かしいのでしょう?もちろんトランペットやシンバルの華麗な音色の効果があるでしょうが、もうひとつ、マルカート・テヌート・ソステヌートといった「響きのかたち」の問題も大きいのではないでしょうか? この曲にはスラーのない四分音符が沢山出てきますが、音のたちあがりを明瞭に、長めに響かせて、次の音符と繋がらないように余韻で分ける・・・いずれにしろ一人ひとりが、輝かしく立派な四分音符を意識してみて欲しい。Gからの速いテンポで、この意識の本領が発揮されます。
ところで、合奏の楽しさはどこから来るのでしょう? それは、それぞれ(一人ひとり)の楽器の個性のぶつかり合いから来ると思います。隣の人と違うことをやりながら、お互いに喜んで溶け合う・・・これが楽しいのだと思います。小編成の合奏の楽しさは、まさにそのことから来るのだと思います。
いろいろな楽器が組み合わされているのも、それぞれが個性を発揮しながら、そのうえで協調・融和を楽しむためだとすれば、なんと素晴らしいことでしょう!

[ 編成 ]

Flute 1,2(それぞれPicc.持替)

B♭ Clarinet 1,2
B♭ Bass Clarinet

E♭ Alto Saxophone 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphnium
Tuba

Timpani (Sus.Cym.)
Percussion (B.D. / Cymb. / Tam-tam / Bongo / 3 Wood Blocks / Temple Block / Glock. )

はなのなは?

[ 作品解説 ]

私は、未だに「初めてのことは是非やってみたい!」と思っています。今回も、浜松の親しい友人たちとの雑談のなかで話題に上がった箏合奏と管打楽合奏の組 み合わせを是非「やってみたい!」と思ったわけです。濁らない小編成のウインド・アンサンブルと箏の組み合わせは、きっと良いコントラストを生むだろう と・・ただ、実際のバランスについては実にわからない、だから楽しみ!
  題名は「花の名は?」と読んで下さい。幾つかの五音音階でシンプルな響きを作り音色の対比に重点を置いた、曲全体のイメージからこの言葉を選びました。偶然、回文ですね!少しコミックにやってみて下さい。
浜松市立高等学校の皆さん、本当にありがとう!

[ 編成 ]

十三絃 1,2
十七弦

Flute 1,2(Picc.)
Oboe

B♭ Clarinet 1,2,3

E♭ Alto Saxophone 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba
String Bass

Timpani
Percussion (4 Temple-blocks / Marimba / Whip / 2 Sistre / S.D. / B.D. / Cymb. / Sus.Cym. / Glock. / Vib. )

Dancing Shadow

[ 作品解説 ]

この小品は、「物体」とその「影」を意識して書きました。
強いアタックや大きな表情をもつフレーズは「物体」です。弱音の軽やかなリズムの連なりは「影」と思ってください。
長音は、それらを囲む環境、地平や空気ということになります。「影」が踊るので、それが大きく発展することはありません。
「物体」と「影」の「立体感」がそのまま「音楽」となる様子を書きました。
楽譜のなかで、符頭のみ記されたものは「短音」です。そのリズムは視覚的とらえた配分で良く、定ビートから離れて(周りから独立して)自由に、むしろ周りに干渉するように演奏してください。

[ 編成 ]

Flute 1,2
Flute 3(Piccolo)

B♭ Clarinet 1,2,3[div.有り]
B♭ Bass Clarinet

E♭ Alto Saxophone 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba
String Bass
Piano

Percussion 1(Timpani(Cymbal) / Suspended Cymbal)
Percussion 2(Tam tam / Xylophone / Glockenspiel)
Percussion 3(Vibraphone)
Percussion 4(Marimba / 木魚)

Fanfare-dreams

[ 作品解説 ]

これは、無心に吹き続けるこどもたちの「祭りのファンファーレ」です。
もちろん、昨年5月に赴いた「浜松まつり」の凧揚げ合戦から発想しました。ひたすら自然倍音を追い続けるこどもたちのすがたは、まさに無我の境地を感じさせました。多数のトランペット群(!)の量感が何とも好ましく・・・響きが今でも聴こえてきます。これを是非ステージでこどもたちに吹いてもらおう!これが私の「夢」となり、題名が「ファンファーレ・ドリームズ」ということになったわけです。
だから、演奏上の注意点はありません。ピッチが少々狂っても、リズムがずれてもこの場合おおきな問題にはなりません。汚れのない無垢の響きが最高の表現となります。周囲の環境をつくるアンサンブルのほうは、多少おとなの音楽かな?

[ 編成 ]

Flute 1,2,3(Piccolo)

B♭ Clarinet 1,2,3
B♭ Bass Clarinet

E♭ Alto Saxophone1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba

String Bass(E.Bass)
Piano

Timpani
Percussion 1(Xylophone / Glockenspiel)
Percussion 2(Snare Drum)
Percussion 3(2 Suspended Cymbals / 3 Tom toms / Bongos / Whip)
Percussion 4(Tam tam / Gran Cassa)

Winds singing a song

[ 作品解説 ]

この作品で私は、鍵盤ハーモニカの懐かしい音色を、吹奏楽の響きのなかに仲間入りさせようと試みました。そして、そのことによって「風」のひと吹きが交錯するような短編を書きたいと思ったのです。
「風」というのはどのように吹いているのでしょう?ここでは菱形を横長に伸ばしたように吹くという設定をしました。この曲に登場する「風」の殆どがこの形をしています。幾つもの風がズレながら吹いていると、そこにメロディーが聴こえます。
ひとりひとりのパート譜を見ると、響きが次第に膨張し、頂点をつくり、そして弛緩してゆく、つまりひと吹きの「風の形」ばかりが書かれています。隣の人と自分の所では違う風が吹く、そして皆で補い合い、聴き合い、楽しみながら呼応してひとつのメロディーを造って行ければと思います。ひとつのメロディーを分解して交代で歌う(13~14世紀の多声音楽で行われた)「ホケトゥス」の手法とも共通点があり、合奏の形態にも色々あるということにも気付いて欲しいと思います。
曲の終盤で風が残していった様々な言葉が、囁くような響きの集合体となって聴こえますが、文章化せず、何を語っているかは判然としないようにしてあります。

[ 編成 ]

Flute 1,2(Keyboard-harmonica)
Oboe(Keyboard-harmonica)

B♭ Clarinet 1,2,3,4,5,6(Keyboard-harmonica)
B♭ Bass Clarinet

E♭ Alto Saxophone 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

Keyboard-harmonica 1,2,3,4

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba
String Bass

Piano

Timpani (Suspendec Cymbal)
Percussion 1(marimba / Wood Blocks)
Percussion 2(Vibraphone / Wood Blocks)
Percussion 3(Sleigh Bells / Wood Blocks / Temple Blocks)

リズムクロス

[ 作品解説 ]

リズム面に注目してみました。
といっても、リズムというものは奥が深く、
様々な側面をもっており楽しいもので、
ここでそのすべてを放出することはできませんから、
また続編を書くことになるでしょう。

この作品の演奏者は、それぞれの短い場面で、
それぞれ的確なリズム感覚を共有する必要があります。
冒頭の3連符と5連符は何気なく合うのが理想ですが、
それが難しいと思います。
次に、4Sax.とPerc.にだけ許された、合奏から解放された
Liberamente(自由に)の瞬間が現れます。
ここでは解放が逆に束縛になってしまうと難しい…。
そして、16分音符の速さは一定で拍子だけ変化する
デジタルな雰囲気の部分が…。
後半は噛み合わせ的束縛感に満ちた楽想ですが、
案外、楽に演奏できるでしょう。

楽器編成は極力小さく、音の重ねも極力控え、
皆さんのために普段設置されている支柱(つっかえ棒)
を外してみましたので、難しい印象かも。
でも管・打楽器の魅力は、それでも光り輝くことを証明してほしい。
素顔を磨き、その美しさと発言力で勝負してほしいという
私の望みを包み隠さず書いたものです。

[ 編成 ]

Flute 1(Piccolo)
Flete 2(Piccolo)
Oboe

B♭ Clarinet 1,2,3

E♭ Alto Saxophone 1,2
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn
Trombone
Euphonium
Tuba
String Bass

Timpani
Percussion 1(Marimba)
Percussion 2(Xylophone / Maracas or Sleigh Bells / 拍子木)
Percussion 3
(Bongo / Temple Blocks / Tom toms / Suspended Cymbal / Whip / Bass Drum / Vibraphone)

Parallel ・Ⅰ

[ 作品解説 ]

音楽のおもしろさにも色々あるということをお伝えしたくて作曲をしています。今回は「パラレル」について考えるために書きました。パラレルな現象を音で切り取ってみたものです。はっきりした性格の違いをもつ複数の楽想が並行して進み、それぞれ自らを主張しますが、客観的に聴けばそれらは互いに影響を受けており、自然に「関係」が芽生えています。それは調性的なベクトルとは別の、補い合う不思議な現象です。
 Parallelは並行・並存といった意味ですが、世の中では色々に使われることばです。推理小説では複数の物語が同時に進行し、最後に結びつく楽しみ。テレビではドラマとCMがパラレルに置かれる。人も、その内面にある様々な要素が人格の幅を広げてくれる。大勢の時は、集団ではなく集合であったほうが楽しいのは「違いがおもしろい」からだと思います。普段は無関係にみえる(気付かないことさえある)様々な現象が、実は互いに影響を与え合っているのが真のパラレルだと思います。

[ 編成 ]

Flute(Piccolo) 1,2
Oboe

B♭ Clarinet 1,2,3

B♭ Soprano Saxophone
E♭ Alto Saxophone
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba
Contrabass

Piano

Percussion 1(Xylophone / Tubular bells)
Percussion 2(Marimba / Wood Block)
Percussion 3(Vibraphone)
Percussion 4(Gran Cassa)

虹のある風景

[ 作品解説 ]

たまには和菓子とコーヒー、抹茶とアイスクリーム、まだまだあるでしょう・・・・三味線の音楽とウィンドアンサンブルの音楽、これらは明らかに違う文化的環境のなかに生きてきたものですね。いわば異文化が偶然に出会い、それぞれが、そのまま自然に生きることのできる環境は、私にとって嬉しく望ましいものです。たとえば、都会でしたらスクランブル交差点での出会いもありそうですが、この曲ではタイトルのように、遠くに山が見える「虹のある風景」という環境での出会いを望んだということですね。
三味線には、特有の厳しく律動的な表現を貫かせ、ウィンドアンサンブルには、まど・みちおさんの詩による私の合唱曲の「虹」の部分からの引用を含ませました。両者は、緻密なアンサンブルの関係にはなく、時々お互いに関心を示しながら、同じ環境で同じ時間を過ごします。

[ 編成 ]

Flute 1,2(Piccolo)
Oboe

B♭ Clarinet 1,2,3

B♭ Soprano Saxophone
E♭ Alto Saxophone
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba
String Bass

Shamisen

Percussion 1(Wood Block / Glockenspiel / Tam tam)
Percussion 2(Sleigh Bell / Vibraphone / Gran Cassa)
Percussion 3(Log Drum)

Concertino for Piano and Wind ensemble

[ 作品解説 ]

題名の「コンチェルティーノ」は、協奏的小品といった意味で使っています。
ソロ・ピアノは(伴奏に乗ってテーマを歌い上げるわけではなく)ウインド・アンサンブルの楽想を強調する立場です。両者はお互いに問いかけ、答え合うことで、一つの音楽を協力して作っていきます。
 ところで、音楽には色々なタイプがあり、何らかの偏りがその曲の魅力になっていくようです。例えば、リズミックで厳格なテンポ指示を持った曲は、それを守った時の美しさ、テンポが変化した瞬間のゾクッとするほどのカッコよさが好きです。
 今回のこの曲の場合、3つのテンポを持っており合計8回テンポ変化の指示があります。この3つのテンポ(72・108・144)はストラヴィンスキーの『管楽器のシンフォニー集』から啓示を受けています。また、その当然の流れとして絵画におけるキュビズム(立体派)からのヒントも生かし、同じ物を中心に置き3つの角度から眺めた感じ・・の楽想の展開は、エネルギーが充分満たされたのちの「想定内」の変容ではなく、「想定外」や「唐突」で思いがけないものかもしれません。

[ 編成 ]

Flute 1,2

B♭ Clarinet 1,2

E♭ Alto Saxophone
B♭ Tenor Saxophone

B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba

Timpani

Solo Piano

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