GOTO Yo後藤 洋
1958年生まれ。
山形大学教育学部特別教科(音楽)教員養成課程卒業後、東京音楽大学研究科で池辺晋一郎氏に作曲を師事する。在学中より吹奏楽と音楽教育の分野を中心に作曲・編曲家として活躍。海外で出版される吹奏楽作品の研究・紹介にも尽力し、この分野では現在日本における第一人者。教育的視点からスクール・バンドおよび市民バンドの活動のあり方とレパートリーに対して活発な提言を続け、現場の指導者から厚い信頼を得ている。
2001年からアメリカに居を移し、ノース・テキサス大学大学院で作曲をシンディ・マクティーに師事。さらにサミュエル・アドラー、ロジャー・レイノルズ、ジョセフ・シュワントナーらの作曲マスタークラスで学ぶ。2004年に音楽(作曲)、2005年に音楽教育(吹奏楽)の修士課程をそれぞれ修了。その後もテキサスに本拠を置き、日本とアメリカを往復しつつ、作曲活動と吹奏楽教育の研究を続けている。
日本管打・吹奏楽学会実行組織機関副執行役員およびクリニック委員会委員長、日本バンドクリニック委員会委員、21世紀の吹奏楽“響宴”会員。
ウィンド・アンサンブルのためのソングズ
[ 作品解説 ]
さまざまな方向からさまざまな異なった音楽が聴こえてくる、そんな音楽体験を目指した曲を、ここ数年書き続けています。『バンド維新』のために書き下ろしたこの《ソングズ》もそのような作品のひとつで、バンドのメンバーひとりひとりがソリストとなって、シンプルな旋律を(あるいはその断片を)自由に奏で、それらが立体的に重なり合うことをコンセプトとしています。
これは奏者の個性を全体に埋没させて「ずれないように、はみ出さないように」合奏することを尊重しがちな、日本のアマチュア吹奏楽へのささやかな問題提起でもあります(もちろん、全員が終始ばらばらに 演奏するわけではなく、一緒になる場面もたくさんあるのですが)。さまざまな「ソング」は、実際には静と動の2種類。いずれも冒頭のクラリネットの旋律を 母体としています。これらの「ソング」が時に対比され、また時には重なり合いますが、最後まで完全に調和することはありません。
「ひとりひとりがソリスト」ですから、ひとつのパートをひとりずつ、合計24人で演奏されることを想定しています。バンドの事情により、指揮者の判断でメンバーを増員してもかまいませんが、各自が自由に演奏する部分がほとんどのパートにあるため、そのまま完全に音を重ねることは難しいでしょう。オプショナルのオーボエ、バスーン、ダブルベースを除けば、省略してよいパートもありません。この録音では、楽譜上の指示に従い、オプショナル・パートを他の楽器で代替しています。
奏者の自発性を要求し、また一部に特殊な記譜法が用いられているものの、技術的には、中学生、高校生にも容易に演奏できるレベルです。
[ 編成 ]
Flute 1,2(Picc.)
Oboe(opt.)
Bassoon (opt.)
B♭ Clarinet 1,2,3,4
B♭ Bass Clarinet
E♭ Alto Saxophone
B♭ Tenor Saxophone
E♭ Baritone Saxophone
B♭ Trumpet 1,2
F Horn 1,2
Trombone 1,2
Euphonium
Tuba
String Bass(opt.)
Percussion (S.D. / Sus.Cym. / Splash Cym. / H.H.Cym. / Glock. / Vib. / Xylo.)