Series No.119 浅原 由香
2019年7月21日に行われたアフタートークの様子をご紹介します。
Q.演奏に体力が必要だと思いますが、体力作りや、特別な練習はしていますか。
浅原:特別な練習というものはしていません。でも、体力を消耗するということは、身体のどこかに無理がかかっている状態です。その悪い緊張が、身体に来ないように、無意識の中でしっかりとした呼吸ができるように、昨年からヨガをはじめました。
オーボエは吐ききることが大事になる楽器なので、ヨガの呼吸から学ぶことは沢山ありましたね。身体の使い方が楽になって、無駄な緊張が入らなくなってからは、バテるということは以前に比べてなくなりました。
片山:んー…まだ、正直言ってまだ、僕22なので、特別なことはしてないですが、生活リズムをちゃんとすることとかですかね。よく寝ることですかね。特に前日とかは。
Q.数ある楽器の中で、オーボエに決めたのでしょうか。
浅原:ピアノは4歳からやっていました。音楽の道に進みたいという思いは、ずっとありました。小学校に吹奏楽部がありまして、珍しいことに学校の備品としてオーボエがあったので、ピアノ以外の楽器に触れてみたいとの気持ちからその時、初めてオーボエを手にしました。音楽の道に進むにあたって、藝大の附属高校を受けるときにピアノで受けるか、オーボエで受けるか悩んだときに、ちょっとピアノはライバルが多すぎるなぁと。このような素晴らしいプレイヤー(片山柊さん)もいらっしゃいますし、分母が多いので、その中で1番になるのは難しいんじゃないかな。という思いと、ずっと座っているのも性格的に落ち着かないので。それで、オーボエだったら!という決意を持ちました。そこから地道に練習を重ねて今にいたります。
一番の魅力はオーボエの音色ですね。色々な曲を奏でることができるので、(自分の技量が)まだまだ足りない部分はありますが、表情だったり、色彩感だったりを表現するには、ものすごく良い楽器だなと思いまして、オーボエで食べていこう!思いました。
Q.オーボエについてですが、リードは湿らせないといけなくて、管は温めないといけないですよね。その調整について教えてください。バッハはあまりオーボエが鳴っていないように感じまして。
浅原:楽屋とホールの温度差で管体の温まり方が違ったり、リハーサルのとき空っぽのホールで吹くのと、お客様が満員で吹くのでは響きが違ったり、最初戸惑いはありました。意外と吸われちゃうんだなと思い、音の作り方を探っていた部分はあると思います。
片山:最初の曲なので特にそうですね。
浅原:なれてくると息遣いとか、どれくらい響かせたら、このホール大きさでちょうどよく聞こえるかというのがわかるんですけど、5分10分は演奏をしながらその音や響きを作っていく感じだったかもしれません。なのでお耳に障る演奏だったかもしれません。
Q.公演中の曲目解説も含めお二人ともトークが上手ですが、なにか意識していることはありますか。
浅原:トークの勉強は特別してないですが、オーケストラのお仕事だとか、文化庁の事業の一環として、少人数の室内楽で小学校や中学校に音楽鑑賞教室として、出向いて演奏をする機会を数多く頂いております。その時楽器の紹介だったりとか、曲目の紹介だったりをわかりやすく説明するということが、いかに大切かということを学びました。
お客様が曲を理解していただくことで、演奏を聞いたときにさらに曲への理解が深まります。演奏会の後であの人が言っていたのは、このことだったのか。と調べる人もいてほしいので、そういったきっかけづくりとして、ちょっとわかりやすい説明を心がけるようにしています。
片山:トークのこつですか…(苦笑)
司会:リハーサル後、楽屋の前を通ったら、ドアが空いていて、ラジオの音が漏れ聞こえてきたのですが、ラジオをよく聞いてそれが活きているのかなと。
片山:いや、そんなことは(笑) 耳が寂しかったから、ただラジオを流していました。
でもやっぱり音楽聞いているときのほうが多いですね。おしゃべりについては、新しい作品を演奏会で取り上げることが有ります。そういうときって曲目解説として、紙で読んでも、よくわからないということがありました。
直接自分が話してから弾いて、聞いてもらうとただ曲だけを聞くより感じ方が変わって、コンセプトがよくわかった。ということがあったので。
僕も解説をよりわかりやすく人に伝えるにはどうすればいいかということを考えたりはします。
Q.クランポンのオーボエを使っているのはなぜですか。
その質問は、楽器を変えてからよく頂く様になりました。
以前私はマリゴを使っていたんですが、4年ほど前にクランポンに変えました。
理由としては、楽器の劣化があったという理由もあったんですが、私にとって(マリゴは)音色が綺麗すぎてまとまりすぎると感じていたので、もっと激しい音楽だったり、消えそうな音だったりという幅の広い表現が、今までの楽器だとちょっと難しかったんです。私の技術不足かもしれませんが。幅を広げていきたいと思っていたときに、当時習っていた先生がクランポンをお使いになっていました。
最初はメーカーの垣根なく試してみました。ロレーを吹いたり、リグータを吹いたり、ヤマハを吹いたり、色々吹いたのですが、その中でもやっぱり、クランポンが自分自身のやりたいこと、しゃべりたい言葉がちゃんと音になって出てくるなという感触があり、メーカーを変えることにしました。