Series No.111 辻 彩奈
2017年12月10日に行われたアフタートークの様子をご紹介します。
Q.ヴァイオリンを始めたきっかけを教えて下さい。
私は3歳からヴァイオリンを始めました。私の父もヴァイオリンを3歳から始めていて、地元のオーケストラでコンサートマスターをしていました。父が3歳から使っていたヴァイオリンが家にあったので、始めました。
Q.ヴァイオリンは、「1748年製 Joannes Baptista Guadagnini」ですが、とても良く鳴る楽器だと思いました。18世紀の楽器というのは扱いが難しく鳴るのに時間がかかる、自分のものにするのに時間がかかるという事を聞いたのですが、ご自分で「これは自分のものになった」というのは弾き始めてどのくらいでしょうか。また、どのようにこの楽器を評価されているのか聞かせてください。
このヴァイオリンを使い始めて1年弱ですが、初めてこの楽器を試奏したとき、すごくパワーがある楽器だと思い感動しました。それからずっとこの楽器を使っていますが、やはり弾く曲によってまったく違いますし、最初は鳴らすのがすごく難しかったですね。楽器によって鳴らし方は違うと思いますが、良い楽器ほど難しいって言われます。こういう名器と呼ばれる素晴らしい楽器を使わせていただく、勉強させていただくことによって、楽器を通して学ぶことが本当にたくさんあり、貸与していただけるのは本当にありがたいと思っています。
Q.今日は特に観客と近い会場ですが、視線が気になったり緊張したりしませんか。
こうしてお客様との距離が近いホールは緊張しますけど、終わった後にこうしてお客様の顔がよく見えると本当に嬉しいですし、そんなに嫌な感じというか視線は気にならないですね。
Q.スランプはありますか。上手くできないときはどう対処しますか。
本番前に緊張して「帰りたい、逃げたい」といつも思います。でも、お客様に拍手をいただいたり温かい言葉をかけていただける事が1番嬉しいですし、新しいお客様とお目にかかってお話しできることが嬉しくて幸せな時間なので、それを考えたらどんなことも頑張れるというか、練習も頑張れます。
Q.20歳であのバッハが弾けるのが不思議でたまらないのですが、バッハの魅力はなんだと思いますか。
今回4作品を弾いたのですが、バッハは本当に難しいなと、勉強すればするほど難しいなと思います。本当にいろんな弾き方をされる方がいらっしゃいますし、今はバロックスタイルで弾くのが流行りだと思います。
バッハの魅力は、みんな違う弾き方をするところでしょうか。色んな解釈の仕方ができると思うので、いつも変えて弾くことができます。今日はこうやって弾いてみようかなとか、ここに装飾をつけてみようかなとか、本当に自由というか。勉強をすればする程いろんな弾き方ができて、いろんなことができる作曲家です。本当に偉大で、弾くときは他の曲よりも緊張しますし、集中力がいる怖い作曲家だと思います。
Q.現在、音楽大学に在学中ですが、卒業後の予定や目標、夢などお聞かせください。
目標としては、世界で活躍できるヴァイオリニストになりたいと思っています。もっといろんなレパートリーを増やして、お客様を惹きつける演奏をしたいです。また、演奏を聴いたらこれが私の音やスタイルだと分かるような、そういう演奏をしたいですね。