Series No.102 鴫原 奈美

2016年2月7日に行われたアフタートークの様子をご紹介します。

Q.静岡国際オペラコンクール時の木村委員長の総評で「選曲を大事にしなさい」とおっしゃっていたと思いますが、本選で歌われた『カタラーニ「ラ・ワリー」さようなら、ふるさとの家よ』、『ヴェルディ「オテロ」泣きぬれて、野のはてにただひとり(柳の歌)』はどういう基準で選曲されましたか?
まず、自分のレパートリーであることが一番。そして、たぶん木村先生は「自分の持っている声+自分の持っているキャラクターで役を選びなさい」とおっしゃっていたんですね。それで私が、1次、2次の時にあまりにも少女の役を選びすぎてしまったので、そのようなことをおっしゃったのだと思います。本選では、私の声のレパートリーで、そして私がやってもおかしくない役を選びました。

Q.もし、師事している先生から「自分と真逆の性格のタイプの歌を歌いなさい」と言われた場合、どういう風に自分の中で表現をしようと思いますか?
そうですね、キャラクターになりきろうとイメージトレーニングをすること。また、そのキャラクターの中でもどうやって自分の良さを出そうか考えて歌います。

Q.コンクールで優勝なさった時に「今までやってきたことが認められてすごく嬉しい」とおっしゃっていましたが、「今までやってきたこと」とはどのようなことですか?また、イタリアでの生活はいかがですか?
日本では可愛いキャラクターで声が高い人がかなり好かれるのですが、私はどちらかというと、声が重くてなかなか認められなかったこともあります。でも、先生と一緒に「歌手は第一に声。そして発声。どんなところでもきちんとしっかり歌える響きのあるものをもつ。声に魂をのせてそれが自分の地となり肉となり、ほとばしるような声が出る。」ということを一生懸命に実践してきました。そのことが、本選の時には今までにないぐらい集中して出せて、それが認められたのだと思います。
今は、イタリアのヴェローナに住んでいます。北イタリアのとても良いところで、町は穏やかで、あまり犯罪も聞きませんし。山があって川があって、そして、ロミオとジュリエットの舞台にもなった愛の街です。夏にはアレーナ(野外歌劇場)でアレーナ・ディ・ヴェローナ野外音楽祭(野外オペラ)を開催していますし、イタリアの空気を吸って、イタリ語を話し、「この道はモーツァルトが歩いたのね。」と言いながら散歩してみたり、そういう生活をしています。