Series No.97 ディナーラ・クリントン
2015年2月15日に行われたアフタートークの様子をご紹介します。
Q.好きなピアニストはどなたですか?
たくさんいます。たくさんいる中でも、もし言わせていただけるとしたら、グリゴリー・ソコロフ、アンドラーシュ・シフ、マレイ・ペライアですね。それぞれ皆さんも素敵なピアニストがたくさんいると思いますが、あくまでも、もし言わせていただけるとしたら、本日3名挙げさせていただきました。
Q.日本人のピアニストで知っている方はいますか?
何度か日本に来ていて、今、ロンドンにも住んでいます。その中で言わせていただきますと、ハマナさん、ヌマザワさんという方は存じています。それと、内田光子さんはもちろん知っていますし、上原彩子さん、上原ひろみさんも知っています。
Q.好きな作曲家はどなたですか?
好きな作曲家というくくりでお答えするのは難しいですが、5歳でピアノを始めて、即座に恋に落ちたのはモーツァルトでした。それから3年たちまして、ちょっと浮気をしまして、ショパンとリストに目が移りました。好きな作曲家というよりは、作曲家のこの曲が好きという感じです。これからも色々とレパートリーを広げていきたいと思っています。
Q.お寿司が好きとのことですが、好きなネタは何ですか?
基本的にわさびが好きです。もちろんお寿司全体が好きなので、嫌いなものはないのですが、わさびの次に好きなものは挙げるとしたらツナ、そしてマグロです。
Q.ディナーラさんの手は大きい方ですか?私は小さい手なのですが、きれいな音が出ません。ディナーラさんのようにきれいで情熱的な音をどうやったら出ますか?筋トレは必要ですか?
私の手はそんなに大きい方ではありません。5歳の時に教えていただいた先生に自分の手が小さいことを話したら、「手の大小は関係ないよ。手の障害等がないのなら、気にすることはないよ。」とお話しいただいた。
手と音との関係をお話します。手を広げて、オクターブを弾かなければいけないところは、それなりにトレーニングはします。現実に自分の手のことを考えて、テクニック的にきれいで情熱的な音を出す為に、やはり筋肉トレーニングなど必要になってくるかと思います。
以下は、当日のアフタートーク中にお聞きできなかった質問を、後日、ディナーラさんにご回答していただき、掲載しております。
Q.ショパンを当然お好きと思いますが、演奏する時に涙する曲はありますか?
ショパンは大好きです。ご質問の答えとしては「夜想曲第20番「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ遺作」でしょうか。
Q.どうやって力を抜いていますか?
練習段階で緊張感をコントロールできるよう心掛けていますので、実際の演奏では力が抜け、緊張感はありません。最善の方法は、緊張しないで演奏できれば、もっといい音が出せると自分に思いきかせることだと思います。
Q.何歳からピアノを習いましたか?
正式に習い始めたのは5歳からですが、家にピアノがあったので、それ以前からピアノには触れていました。
Q.今日のコンサートの曲目の中でディナーラさんが一番聴いてもらいたかった曲、うまく弾けた曲は何です か?
すでに練習の段階から、皆様に全ての曲を聴いて欲しいという思いで弾いていますので、これは難しい質問ですね。「満足度」という点では、いつも思い出すのがヨーゼフ・ホフマンの演奏後の一言です-「演奏できて幸せだが、満足には至らない。」
わたしも彼と同じような気持ちです。
Q.国によって演奏しやすさに違いはありますか?
とても興味深い質問です。概ね観客に関した違いですが、メンタリティーがそれぞれに違うように、演奏に感動した時の彼らのリアクションは多いに異なります。例えばアンコールの例ですと、国によっては観客の拍手に答えて5回もステージに上がることがある一方、繰り返しのアンコールはタブーな国もあります。感激のあまり床を踏み鳴らす観客がいる一方、ブラボーさえも発する習慣がない国もあります。このような違いは、演奏者に影響を与えるものです。私としては、自分の演奏を暖かく歓迎し聴いてくださる観客の前で演奏することを望んでいます。勿論主催者側の準備が行き届いていれば、更に演奏し易くなることは言うまでもありません。その意味でも、私は日本で演奏できることに大変喜びを感じています!