Series No.108 ダニエル・シュー
2017年5月14日に開催される「アクト・ニューアーティスト・シリーズ2017」のトップバッターは、ダニエル・シューさん。第9回浜松国際ピアノコンクールに入賞して2年。その後の活躍や最近の活動についてお伺いしました。
浜松コンクールは、僕を演奏家として刺激し、たくさんの演奏の機会を得て、とても感謝しています!
©Chris McGuire
――ピアノを始めたきっかけは?またピアニストを目指そうと思ったきっかけは何ですか?
僕にはピアノを学んだ姉と兄がいて、彼らの真似をしたくてピアノを始めたんです!僕は小さい頃からいつも演奏するのが本当に大好きでした。でも3年くらい前までは自分がピアニストになりたいとは思っていませんでした。ピアノの演奏や練習中や遊び弾きしている時のような感情は他の趣味のどれにも感じられないことに気づいたのです。
――本番前にいつも行う習慣などはありますか?
食事はとらず、いつも歯を磨きます。時間が十分あるときは、仮眠をとるようにしたいですね!
――休日はどのように過ごされていますか?
最近はもう休みの日がありません!でももしそんな日があったら、食事をしたり、友達と過ごしたり、映画を見たり、街中を散歩したりハイキングするといったようなごく当たり前のことをするのが好きです。
――最近の活動について教えてください。
ほとんどの時間を練習や演奏会のために費やしています!僕のお気に入りのコンサートは、昨年の夏にデビューしたフィラデルフィア・オーケストラ、ギルモア・インターナショナル・キーボード・フェスティバルなど、そしてあと2週間に迫ったニューヨークのカーネギーホールのデビュー公演ですね!
――現在、特に力を入れて取り組んでいる作品や作曲家はありますか?
特にシューベルトに親近感を感じます。彼の音楽における歌心の質と純粋な美しさは比類のないもので、彼の音楽は何か特別なものを感じさせてくれます。
シューマンやベートーヴェンもまた演奏が楽しく、本当にたくさんの時間をかけています。
――音楽以外の趣味などはありますか?
はい!余暇にはコンピューター・プログラミングを楽しんでいます!本当に楽しくて、ピアノとは全く異なった頭の使い方をするので、とてもよい気分転換になります。
僕は友達と一緒にWorkflowというアプリの開発に携わり、彼らはたくさんの賞(アップル・デザイン賞、2015年アプリ・ストア・ベスト賞)に輝いていて、彼らは最近Apple社に採用されたんですよ!
©浜松国際ピアノコンクール
――浜松国際ピアノコンクールに出場した印象は?
初めての大きなコンクールでした!なので、過度に期待せず楽しむように努めました。
日本に来たのも同じく初めてで、コンクールを受けるのには本当に素晴らしい場所でした!素晴らしい友達にも出会い、いつもよく思い出しています!
また、もしかしたらこれは驚きかもしれませんが、コンクールがちょっと恋しいです!
――浜松の後何か変わりましたか?
浜松コンクールは、僕を演奏家として刺激してくれたと言えると思います。進化を続け、またもっと学ぶために。コンクールのおかげでたくさんの演奏の機会を得て、とても感謝しています。今も僕の気持ち、目標はずっと変わっていません、学び続けること、進化し続けることです。
――5月の来浜で楽しみにしていることはありますか?
また日本に戻ってこれるのを本当に楽しみにしています!前回のコンペティションの時からずっと、滞在中にもっと日本の色んな場所を訪れたり、たくさんの人に会ったり、いろいろおいしいものを食べたりしたいと思っていました!友人達にも会ったりして、いろいろ一緒にまた話をするのが楽しみです!
――5月のプログラムについてお話しください。
浜松コンクールでも演奏したベートーヴェンのピアノ・ソナタOp.110から演奏を始めます。とても複雑で深遠な作品であり、今はコンクールで弾いたその時とは全く別の作品のように感じます。それからブラームスのヘンデルの主題による変奏曲を弾きます。壮大な構造を保ちながら、とても多くの性格や多様性を持つ一連のバリエーションです。
休憩の後は、シューベルトの即興曲を2曲弾きます。シューベルトなしのプログラムは考えられません☻ そしてモーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」に基づいた、リストのドン・ジョバンニの回想。とてもエキサイティングな作品で、シューベルトと、プログラム全体にとっても、よいコントラストを演出すると思います!
――来場される皆様にメッセージをお願いします。
再び日本呼んでくださりありがとうございます!浜松コンクールから約2年、再び浜松に戻り、自分が取り組んできたことを皆さんとシェアできるのが待ち遠しいです!素晴らしい音楽の時間になること、そして皆さんにお会いできることを願っています!
©浜松国際ピアノコンクール
プロフィール
©Chris McGuire
ザ・フィラデルフィア・インクワイアラーにて、「なぜかその演奏に惹きつけられ、心を奪われる豊かな表現の切り口を持ち合わせた“詩人”」と評された19歳。2年ごとに22歳以下の若手ピアニストに贈られる、ギルモア・ヤング・アーティスト2016年に選ばれた、注目度急上昇中の若手アーティストである。アメリカ、サンフランシスコ出身。6歳で音楽の勉強を始め、10歳でカーティス音楽院に入学。人気ピアニスト・ラン・ランやユジャ・ワンを育てた名教授ゲイリー・グラフマンとエレノア・ソコロフの元で8年間学んでいる。アルゲリッチらも審査員として参加し話題となった2015年第9回浜松国際コンクールへ最年少参加し第3位受賞。その成熟した音楽性を高く評価された。アメリカ国内のコンクールでも優勝多数。2016年、2年ごとに22歳以下の若手ピアニストに贈られるギルモア・ヤング・アーティスト賞受賞(過去にユジャ・ワンやジョージ・リーも受賞)。同年5月には、ギルモア・キーボード・フェスティバルへ登場、6月にはフィラデルフィア管弦楽団にラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番でデビュー(指揮C.マチェラル)。2017年4月18日にはNYのカーネギーホール・ワイルリサイタルホールでのデビュー公演が予定されるなど、注目度急上昇中のライジングスター。カーティス音楽院のパブリックラジオやテレビ番組などでも、兄姉で同じくピアニストのアシュリーとアンドリューとともに出演し高い評価を獲得したベートーヴェン・ピアノソナタの演奏会など特集が組まれている。ダニエルのソナタOp.110についてザ・フィラデルフィア・インクワイアラーは「素晴らしい個性の持ち主。輝かしく、豊かな音でドラマティックな場面・軽快な場面など隅々にまで神経が行き届いていた」と評した。演奏活動の傍らコンピューター・プログラミングにも取り組み、開発に携わるiPhoneアプリ「Workflow」が2015年アップル・デザイン・アワードを受賞した。
HP http://www.concert.co.jp/artist/daniel_hsu/